「第2回東北アジア地域協力発展国際会議」で程幼東様の発言

虎ちゃん

2009年06月24日 21:49

積極的に挑戦し 大きな力で協力強化
     第二回北東アジア区域協力発展フォーラム キーノート・スピーチ

                     黒龍江省人民政府副省長 程幼東

                         (2009年6月14日)


来賓各位、各機関代表各位、大会参加者の皆様

 第二回北東アジア区域協力発展フォーラムの盛大な開催に際し、黒龍江省人民政府を代表いたしまして、本フォーラムの開催を心よりお慶び申し上げます。遠方よりお越しいただいた来賓の皆様には歓迎と心からのお礼を申し上げます。
 本日は、この美しい松花江に接する中国北部の中心都市ハルビンにおきまして、北東アジア各国の来賓の皆様が一堂に会し、世界的な金融危機に立ち向かい、この地域の協力発展の大計を強化させることは、歴史的な意義と現実的な意義の両方を有しているといえます。長年の協力を経て、北東アジア地域の各国間の二国間あるいは多国間の協力はすでに良好な基礎を築いてきました。現在、世界的な金融危機や経済の衰退を背景として、北東アジア地域の各国にも経済の減速が共通に現れており、非常に厳しい局面を迎えるまでに至っております。世界三大経済地域である北東アジアの各国は心を一つにして一致協力する必要があり、困難な局面を共に克服し、同地域の協力体制の独自の優位性を発揮し、率先して経済的な停滞から抜け出し、域内の各国市民のための福祉に供し、世界経済復活のために貢献しなければなりません。
 2009年に入り中国のマクロ経済は回復の兆しを見せており、ロシア、日本、韓国等の経済も安定を期待させる状況にあります。北東アジア地域の協力規模は日一日と拡大しており、協力体制も次第に整いつつあります。これらにともない、広大な市場を擁し成長の潜在力を秘めた中国は、今後の東北アジアの地域協力において新たな機動力となることが望まれます。さらに世界の経済成長の新段階における牽引役となり、グローバル経済復調においても先頭を切ることが見込まれます。黒龍江省は北東アジアの内陸に位置し、ロシア、日本、韓国等への開放の前線であり中心地区でもあります。そして同省は中国における資源、農業、森林の宝庫で、国境開放の地であり、さらに中国における旧工業の重要な拠点の一つであります。このように黒龍江省発展のポテンシャルは計り知れず、北東アジア域内の協力分野においても優位に立っておりますし、地理的な優勢と産業がその優位さを補い合っています。同省が有する様々な優位性を最大限発揮し、経済危機に対する有効的な措置を行えば、北東アジア地域の協力拡大をより一層進めることができるでしょう。これらのことは、現在黒龍江省が直面している選択を迫られている課題と考えております。これらのことから、私達はこれから申し上げます5つの分野においてさらに課題を掘り下げ、それらに対し積極的な行動をとって参りたいと思います。

1.今後数年間で中国経済の発展地区となる黒龍江省
 中国政府が打ち出した昨年度のGDPのおよそ13%にあたる4万億元の投資計画に伴い、黒龍江省もこれに対応した経済活性化計画を打ち出しました。ここで重要なのは、固定資産投資の規模を拡大しそのスピードも速めることにあります。2009年は黒龍江省の固定資産投資額は前年比35%前後の増加が見込まれており、5,000億元に達する予定です。2010年も35%増額の予定で、7,000億元に達する予定です。2011年末には、三年間合計の黒龍江省の固定資産投資額の規模は2万億元に届き、この投資規模は同省の過去20年間の固定資産投資の総額を超えるものです。この規模は、東北アジア地域各国の地方投資の中でも比較的大きなものと言えるでしょう。固定資産投資における後発性や集中的な優勢を生かし、私達は「ハルビン-大慶-チチハル工業ベルト」「東部石炭電力化学工業区」「東北アジア経済貿易開発区」「ハルビン-牡丹江-綏芬河―東寧 対ロシア貿易加工区」など、「八大経済区」を重点的に開発する予定です。また、同省の経済成長については2009年に11%、GDPにしますと9,000億元を実現することを目標に掲げ、今後数年間はさらなる成長規模を保持していきたいと思います。今後3年から5年の経済規模は少なくとも10%ずつの増加を維持することを前提とし、現在の黒龍江省のGDP総額である1,200億ドルを2010年には1,400億ドルを突破するレベルにまで、さらには5年以内に2,000億ドルを突破するレベルにまで高めたいと考えています。これは世界各国のGDPの50位内に相当する水準となります。東北アジア国家が積極的かつ有効的な措置を採用し、経済力を刺激させ関連分野の基礎的な設備投資を増加させて内需拡大を進めると同時に、域内の協力にも大きな力をもって推進し外需も同様に拡大させることにも私達は期待を寄せております。

2.全力で東北アジア経済貿易開発区建設に臨む黒龍江省
 黒龍江省は北東アジア地域との協力に向けて、中国のなかでも先導地域および中核的な位置づけを作り上げています。まず「ハルビン-大慶-チチハル工業ベルト」などの経済基盤を拠り所とし、同地域の行政的な中心都市も支え、国境地帯や国際港湾が結節点となって、東北アジアさらには欧州大陸に向かって広がる第一級の経済貿易開発区を黒龍江省に打ち建てたいと思います。このような目標実現のための、5年以内に黒龍江省は2,000億元の道路や鉄道などの交通インフラ設備の建設を行う予定です。実際に過去3年間においては、道路建設に1,000億元、鉄道建設に600億元を投入しました。たとえば、ハルビン-チチハル、チチハル-ジャムス、ハルビン-牡丹江の都市間を結ぶ高速鉄道電車は、時速100キロから最速で300キロにまで達する予定です。これにより黒龍江省内は、ハルビンを中心とした1時間以内の経済圏にほとんどの地区がカバーされることになります。また現在までに、同江と撫遠間、牡丹江から丹東へ延びる鉄道もすでに竣工し、同江と中ロ国境河川に架かる大橋の建設もすでに着工しております。将来的には黒龍江省とロシアの間には国境を跨ぐ複数の橋がさらに建設される予定で、現在撫遠・伊春・大慶・加格達奇などでは空港建設も急ピッチで進められております。これらにより、黒龍江省の貿易路の発展や輸出拠点そして観光開発区の建設のための強固な基礎が固められることになります。北東アジア域内の港湾・鉄道・空港建設の配置にあたっては、中国国内第二の長さを誇り、ロシアに対して地理的に最も優位な黒龍江省の公道や鉄道を利用して、投資拡大や交通・輸送のインフラ建設の大きなチャンスが生かされることを、隣接する北東アジア各国に対しては私達も願っております。鉄道・道路・空港の機能拡大や拡張・再建にあたっては、北東アジア地域で協力して合理的に配置することで、インフラも整った北東アジアの立体的な交通ネットワークが完成されるでしょう。私達はまたロシアのシベリア鉄道の高速化に対しても、同鉄道が欧州大陸の主要な幹線の機能や役割としてレベルアップすることに期待を寄せております。

3.ロシア・日本・韓国等の北東アジア国家に向けた輸出加工区を建設中の黒龍江省
 「ハルビン-大慶-チチハル工業ベルト」「北東アジア経済貿易開発区」「ハルビン-牡丹江-綏芬河―東寧 対ロシア貿易加工区)」の建設を通して、農産物・軽工業・家具建材・機械および電力設備などを主体とした、海外輸出型の産業構造を整えております。とりわけ、黒龍江省の「グリーン・フード」と呼ばれる有機・無農薬食品基地の土地面積および品質は全国でも屈指ですし、北東アジア各国の巨大なマーケットおよびその消費力に対しても照準をあわせております。北東アジア地域や世界に向けて広がる中国屈指の有機食品輸出加工区として、黒龍江省は全力で取り組んでいます。黒龍江省の政策である「南聯北開戦略」を実施し、中国国内の企業を誘致し、木材・建材・食品加工の一大拠点を共同で建設し、一方で北東アジア各国に対しては、安全な農産物や当地の特色を生かし高付加価値および国際競争力のある一連の製品を輸出したいと思います。そこで私達は、予め投資を行い基礎を築いた上でさらなる外部からの投資を期待する「築巣引風」という政策を採用しております。この方式は、まず輸出加工区を建設し、輸出企業に対し助成を行い、同時に中国南部の経済的に発達した省からの資金や技術を省内に呼び込みます。また、北東アジア地域の国家が黒龍江省の輸出加工区の建設に参与し、双方向的で相互的そして互いに利益がもたらされることを非常に歓迎しております。

4.北東アジア国境地帯に対し貿易開放区建設予定の黒龍江省
 中国中央政府が批准した中国で6箇所目となる黒龍江省綏芬河における総合保税区建設という大きなチャンスを逃さず、綏芬河と黒河にある二国間通商貿易区を自由貿易区へと転換させる試みを私達は重点的に進めております。このような計画の下、黒瞎子島の二国間通商貿易区をできるだけ早く稼動させ、綏芬河市保税区を輸出加工区、オフショア物流圏、港湾などの機能を一体化させ、中継・配送・仕入・再輸出入といった貿易と輸出加工が一体となった国際港湾開放地区として新たに再建する予定です。現在、中央政府の支持と関係国の関与のもと、2010年までに区域内の関税をなくすという2005年のASEAN10カ国協議に比類する目標を間もなく実現させる予定です。そして、北東アジア地域の自由貿易区へのプロセスを速やかに起動させたいと思います。世界的な金融危機を背景とした現在、敢えて検討する価値があるのは、東北アジア国境地帯の貿易区域内での関税を撤廃し、貿易にかかる障害を取り除き、保護主義を打破し、外に向けて開かれた貿易拡大による域内経済の大きな発展です。副食物など低関税製品を手始めにゼロ関税を実施することで、貿易コストを下げ、貿易規模を拡大し、同時に金融分野でも協力を促進し、区域内での本位貨幣決済を試験的に導入することも考えられます。

5.「北国の風景」を生かした観光開発区を建設中の黒龍江省
 今後5年から10年以内に、「ハルビン氷都夏都観光区」「五大連池観光区」「中国極北観光区」「鏡泊湖旧渤海国集合区」「扎龍自然保護区」などの、国際性に富み地域間に跨り、市場での競争力も比較的高い観光地を筆頭に、黒龍江省は集中して建設にあたる所存です。これらの地域では、天然の酸素バー、氷雪、火山、避暑など優れた特色を持つ観光資源をとおして、各国の皆様に高品質で低コストのサービスを提供いたします。これからは東北アジアの各国で、旅行や休暇の主要な目的地の一つとして黒龍江省を位置づけて下さり、相互に補い合うことを私達は歓迎します。また北東アジアの各国がさらに観光政策を開放され、域内の観光路線をより便利にスピーディに、かつ低コストでサービスも行き届いた北東アジアが一体となった観光経済圏が形成されることも希望しております。これにより、北東アジア地域の協力発展圏、多地域間の貿易圏そして高技術協力圏が本格的に動き出す原動力となるでしょう。

 各機関代表各位、大会参加者の皆様方。北東アジア地域の発展はまさに厳しい挑戦を迫られている只中にありますが、しかし互いに協力しあうことは人心の向かうところであり、大勢の赴くところであります。北東アジアの潜在力は巨大ですので、世界経済増大の新たな極となることは有望です。今回のフォーラムが政府、企業家、研究者の方々の様々な視点から新たな試みが生まれることを期待します。またフォーラムの成果が今後の友好や協力の促進の基礎となり、北東アジアの協力をさらなる発展につながることを望んでおります。北東アジア各国代表の皆様の積極的な参加や実務的な討論を通じて、本フォーラムが前回大会の成果の上に、さらに共通認識に達し、実り多き成果をもたらし、円満に成功することを私達は信じております。
 最後になりましたが、各国代表そして大会参加者の皆様方が黒龍江省にご滞在中、御仕事が順調に運び、御心楽しく健康に過ごされますことをお祈り申し上げます。
 ありがとうございました。