2009年06月24日

「第2回東北アジア地域協力発展国際会議」での青木麗子様の発言

留学生交流を通して、九州と黒竜江省との絆を強める                       
                            
                              2009年6月14日
                      福岡県留学生サポートセンター長 青木麗子

 昨年のこの時期に第一回目の北東アジア発展協力フォーラムが、ここハルピンで開催され、私もスピーカーとして参加させていただき、中国を始め、ロシア、日本、韓国、モンゴルなどの国々から参加されていた大勢の皆様と楽しく有意義な交流をさせていただいて、多くの事について学ばせていただきました。そして、今日もまた、ライラックの花が美しく咲き誇る素晴らしい季節に、再びこうして皆様と再会できましたことを心から嬉しく思います。ここに、主催者であります中国社会科学院と黒竜江省人民政府、黒竜江省社会科学院の関係各位に心から感謝を申し上げます。
スピーチの前に少し自己紹介をさせていただきいと思います。私は1959年に日本人である両親のもとに中国で生まれ、人格形成の上において極めて重要な幼少期を中国で過ごし、日中両国の文化の恩恵を受けながら育ちました。その中でもちろん、辛い事もたくさん経験しました。多くの葛藤を乗り越え、日中両国の架け橋となることは、幼ときからの私の夢でありました。そして、その夢は、通訳という仕事を通して実現することができました。これまでの20数年間の通訳の仕事を通して、江沢民、胡錦濤、朱鎔基、李瑞環など、数多くの中国国家指導者の皆様の訪日時の通訳の仕事や国際会議の通訳を数多く担当させていただきました。そして、政府要人、学者、企業人、学生などなど、数えきれ居ないほどの皆様と接して参りました。その中で、日中両国の人々の心の中に分厚い壁が立ちはだかっているいるということも痛感してきました。日中両国の人々の心の壁を取り除き、日中両国の人々がさらに交流を深め、信頼し合える関係を築くことに貢献すること、これが私の新たなる夢となりました。
 さて、昨年、私はこの会議において、ソフトパワーの事について言及させていただきました。私は平和共存社会を実現する上に置いて、ソフトパワーが果たすべき役割が非常に大きいと考えています。中国には「仁者無敵」という古いことわざがあります。もし、世界中の人々がもっとソフトパワーを重視し、ソフトパワーを高めるために努力し、国徳を積み上げ、世界の人々から尊敬を集めることができれば、国を守るために必死に軍事力強化する必要もなくなり、そうなれば軍事力強化に投じる莫大な予算を国民の福祉に使うことができたら、どんなにか素晴らしいだろうと思うのであります。
 ところで、本日は、留学生というテーマ取り上げて、皆様とともに考えてみたいと思います。私が住んでおります日本国福岡県は、中国大陸とは地理的に近く、二千年も昔から日本国内における大陸との交流の窓口として、大きな歴史的役割が果たしてきた地域です。古代において、我が国日本は、中国に多くの事について学びました。唐と宋の時代には、多くの留学僧が福岡にある博多港から出発して、大陸を目指しましたが、これらの留学僧達が大陸から多くの文化を日本に持ち帰って、福岡の地から日本全国に広げていきました。
そして、今日に至っても、福岡県は、アジアに開かれた地域として、麻生渡知事の強いリーダーシップのもとに、世界の人々との交流事業に大きな力が注がれ、国際社会と共に繁栄することを目標に努力を積み重ねております。九十年代のバブル経済崩壊後、日本国内において、多くの地方自治体は、海外との交流事業予算を大幅にカットしました。しかし、福岡県は逆に、これまでの香港事務所、ソウル事務所に加え、2002年以後、上海、サンフランシスコ、フランクフルトにも県の事務所を開設し、これらの国や地域との交流事業に大変積極的に取り組んでいます。中でも、麻生知事は、未来を担う若者同士の相互理解と交流を大変重要視しています。
昨年の七月に「福岡県留学生サポートセンター」を設置しました。このサポートセンターは、福岡県が主となって、九州大学を始め地元の九つの大学、そして、地元経済界、福岡市、北九州市、久留米市、飯塚市などの地方自治体とも連携しながら共同で運営しています。このような産学官が一体となって留学生支援に取り組む組織としては日本全国でも始めてであり、留学生の皆様からはもりより、社会からも大きな期待が寄せられています。
 今、世界中から12万人を超える留学生が日本で学んでおり、その1割に相当する1万2千人は九州に、そしてその中の6割に相当する七千名弱の留学生が福岡で学んでおられます。そして、89か国からなるこれらの留学生の内、約五千名の留学生は中国からやってきています。そのこともあってか、麻生知事の任命を受けて、私は当センターの初代センター長に就任させていただきました。今、約7千名の留学生が福岡の地で学ばれていますが、2020年には留学生4万人を目標に、私は大きな使命感をもってスタッフと一丸となって、留学生のために、悩み相談、アルバイト紹介、就職支援などなどの事業に取り組んでいます。そして、私が最も力を入れて取り組んでいる事業の中に、日本文化塾があります。
日本文化塾を通して、留学生の皆様が、日本の伝統、地域、企業精神などについて学んでいただきながら、地域住民と留学生との交流の場を広げ、社会的な留学生を支援するムーブメントを作っていきたいと考えています。また、日本の若者たちにも日本文化塾に参加してもらって、留学生との交流を通して、大いなる異文化の刺激を受け、グローバルに生きる力を養い、世界の若者とともに逞しく成長してほしいと考え、日本文化塾の開催に努めているところです。普段、大学で接することの出来ない知事を始めとする政治家、日本国内の企業のトップリーダーの方々に講師にお迎えして、普段、大学では学べないことを大いに学んでいただいて、参加者から大変高い評価を受けています。また、留学生の皆さんにとって、真の友人を作る絶好の場となっておりますことは何より嬉しいことです。
私は留学生の皆様が福岡で安心して留学生生活が送られるよう、私は留学生の日本の母、センターのスタッフは留学生の兄弟として、留学生の皆様と接するように心がけています。
私たちは今ボーダーレスの時代に生きていていると言われいます。しかし、このボーダーレスの意味は、国境やパスポートという壁の意味で、私は、将来、世界の人々が互いを理解し、互いを尊重し、真の心のボーダーレスの時代がやってくることを願っています。そのためにも、今、留学生支援活動を必死に取り組んで行く必要があると痛感しています。
そして、私は、ここ黒竜江省から多くの若者が福岡に留学にきていただきたいと考えていますし、多くの福岡の若者たちにもハルピンに留学してほしいと願っています。もちろん、このことを具現化させるためにも、黒竜江省社会科学院の皆様と連携を密にしていきたいと願っています。黒竜江省は上海と比べて、距離的には九州・福岡と遠く離れ、交流が相対的に多くはありません。だからこそ、私は、日中両国の未来のことに思いをはせた時、この両地域の若者達の相互理解を深めることは、両国の明るい日中両国の未来を築き上げる上において極めて重要なことだと思うのです。日中両国の友好関係の発展は、北東アジア地域の平和と安定を握る重要なカギであるからであります。留学生交流を通して、九州・福岡と黒竜江省と絆を強めていきたいと願っています。






同じカテゴリー(友人の大作)の記事画像
「第2回東北アジア地域協力発展国際会議」で丸屋豊二郎様の発言
同じカテゴリー(友人の大作)の記事
 「第2回東北アジア地域協力発展国際会議」での専門報告会の発言 (2009-06-24 22:11)
 「第2回東北アジア地域協力発展国際会議」での吉田進様の発言 (2009-06-24 22:03)
 「第2回東北アジア地域協力発展国際会議」での坂下明彦様の発言 (2009-06-24 21:59)
 「第2回東北アジア地域協力発展国際会議」での朴紅様の発言 (2009-06-24 21:58)
 「第2回東北アジア地域協力発展国際会議」での木下英一様の発言 (2009-06-24 21:56)
 「第2回東北アジア地域協力発展国際会議」での松野周治様の発言 (2009-06-24 21:54)

Posted by 虎ちゃん at 21:36│Comments(0)友人の大作
上の画像に書かれている文字を入力して下さい
 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。